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2016年8月

2016年8月17日 (水)

我が家の今昔物語⑦ まっか

今は昔。

もう35年ほど前のことである。

結婚したばかりだった。

ある日、私は夫の実家へ、近所の市場でキンショーメロンという黄色いメロンを買って行った。

メロンなので、まあ高いメロンではなかったが、ほかの物よりは張り込んだつもりである。

ちなみにその当時、夫の実家は私たちが住む賃貸マンションから歩いて2分ほど、なのでほぼ毎日のように私は顔を出していたのだが、たまにはちょっと張り込んでとでも思ったのだろう、手土産を持って行ったのだ。

一つ歳下の義妹は私を見るなり「わー、まっかや!」と言った。

真っ赤?

私は何が真っ赤か訳が分からなかった。

その日私が着ていた服も、手にしたものも、赤い物は一つもない。

次に夫の母が傍に寄ってきて「ホンマや、まっかや」と言った。

その時の母の視線の先がメロンだったので、黄色いメロンなのに、真っ赤というのがよけいに分からず、もしかしてこのメロンは切ったら中が真っ赤なのかと思った。

さらに夫の父もやってきて「へー、まっかやないか、懐かしいな」と言う。

みんながそのキンショーメロンでテンションが上がっているようすなので、まずは買った甲斐があったようには感じたが、まっかは、切ってみたけれど、果肉は赤くもなく、むしろ白いメロンであった。

それで、黄色いのに何で真っ赤かと尋ねたら、

「真っ赤ではなく〝まっか〟や」という。

一緒じゃない?

私にはその違いが聞き分けられない。

「まくわ、や、マクワウリ」

そう言われても訳は分からない。

なんでまくわが真っ赤なのだ?

しかもマクワウリって、何よ、これはキンショーメロンでメロンでしょ、シールも貼っているし。

そもそもウリは縞々があって青い細長い物でしょ?

はてさて。

納得できないものの、まあ、みんなが機嫌よくしているのだからいいか、と思った私だった。

夫は後で「まくわ→まくぁ→まっか、と変化したんや」と教えてくれた。

そして「ユウコの言うウリは奈良漬とかに使うウリで甘いウリとは違う」とノタマッタ。

いやいや、違うことはないよ、私が子供の頃に食べたことのあるウリは緑色で縞がある細長いウリだったよ。

甘くて美味しかったよ。プリンスメロンが出てきてから見なくなったけれど。

そう言ったけれど、相手にしてもらえなかった。

ずっと長い間、マクワウリとマッカとキンショーメロンのことは、面白いエピソードながらも何だか納得できないまま私の中で眠っていた。

clover

ところで、夫は先日突然「まっかをもらいに行く」とノタマッテ、退職後家庭菜園をしている友人に会いに行って、沢山もらってきた。

夫が釣りで大量に釣った時にお裾分けする元同僚で、時々海の幸と山の幸を物々交換するのだが、どうも「懐かしいけどなかなか手に入らないまっかが食べたい。作って欲しい」と厚かましくもリクエストしたようなのだ。

その日、男同士楽しくランチをして、嬉しそうにまっかと沢山の野菜を段ボールにいっぱい頂いて帰って来た。

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黄色い。これが夫が食べたかった ↑ 懐かしのマクワウリである。

メロン系の味だが、もっとさっぱり爽やかな甘さで美味しかった。5個も頂いた。

写真のは最後に残った小ぶりのもので、もっと大きいのを頂いて堪能した。

それで初めて、私が35年前に買ったキンショーメロンがマクワウリを丸くしたようなもので、だからみんなが黄色いのに「まっか」と言ったのだと納得したのだった。

ネットで調べてみたら、キンショーメロンはマクワウリをベースに掛け合わせたメロンだということも分かった。なるほどである。

調べているうちにウリを中心に紹介している方のサイトを見つけた。

ウリが地方によって色々あるのものだというのもそちらで知った。

興味深いサイトである。

私が生まれて育った北海道のウリは私の記憶通りに、縞模様の有る横に長い緑色の漬物のウリのような形のウリで、「北海甘露」「アジウリ」と呼ばれていたものというのもそちらで教えていただいた。

http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/kuirejo/melon_b.htm

(こちらのサイトの下の方に北海甘露が写真付きで。リンクフリーというので貼りました)。

アジウリという名前に覚えがあった。記憶の底に沈んで忘れてしまっていたが、そのサイトを見て、何十年かぶりに揺り起こされ目覚めた感じである。

clover

生きるのに忙しくしている中年期には、一瞬フラッシュのように思い出す過去の出来事も、そうだった、と懐かしむだけで、ひたすら前を向いて生きてきた。

わざわざ懐かしい物を作ってもらおうとも、わざわざ懐かしい人と再会しようとも、探そうともしないで。

夫は今月に入って3回、古い友人たちと飲みに出かけた。

高校時代の友人。大学時代の友人。かつての同僚。

会いたいと思った時に会わないと、人の命は永遠ではない。

まっかも、いずれ絶滅してしまう品種かもしれない。

今のうちに急いで食べないと。(笑)

clover

私の育った地方では「け」は「くえ=食え」である。

「ユッコ、すすけ、遠慮すんな」と勧められた場合は「ユウコ、寿司食え、遠慮するな」ということだ(「す」も「し」もなまって「す」で同じである)。

なので、北海道と関西と離れてはいるが、まっかの「か」が「くわ→くぁ→か」に変化するのはよくわかる。

clover

そういえば、まっか、と同じように戸惑った大阪の言葉に「かって」がある。

これは「買って」だと思ったら大間違い、正反対の「借って」つまり借りてなのである。

会議でホワイトボードが無いというので誰かが「じゃあ、かったらいい」と言うので高い経費になると思ったが無理して買ったら、言った人に驚かれて、レンタル業者から借りたらいいという意味で言ったという笑えない話を知っている。

これなども、夫や夫の母には発音の違いが判るらしいが、ネイティブ大阪人以外には迷惑な話である。

もっとも、ネイティブ大阪人と言っても、マクワの「まっか」も借りての「かって」も、今の若い人には分からない。

今は昔、の話である。

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